舘祐司の気ままなブログ

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「絶滅してほしい生物図鑑」と言う本が今人気で売れているそうです。
どう言う本かと言うと、日常生活の中でマナー的にちょっとなあって言う人いますよね。
そんな人らに敢えてネーミングを付け、分類、解説していると言う内容です。

例えばこんな風です。
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傘は時に凶器になり得ます。子供さんなどはちょうど高さ的にも非常に危険ですね。
やめてほしいです。
他にも。
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いますね、電車内では猛ダッシュして我先に席を確保したがる 「セキトリタガール」(勝手にネーミングしてみました)も生息しています。

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少し聞く耳を持つことで寛容になり、コミュニケーションがうまくいくのではないでしょうか。

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ペットボトルや空き缶、タバコなどよく見かけます。海外の国に比べて日本はゴミが少なく美しいと言われています。さらにマナー向上に努めて世界一美しい国と言われたいですね。

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この二つは 、意外と自分に当てはまるような気がして少し耳が痛い気がします。性格上思ったことを胸に止めることが難しく、つい口に出して言ってしまい、もしかすると相手を傷つけていることがあるかもしれません。気をつけたいと思います。

 マナー違反の問題をユニークな形で紹介しているところがとても面白いですね。
キャラクターの絵も可愛くて子供さんから大人まで楽しくマナーを学べる素敵な本です。

 

「ウィ・アー・ザ・ワールド」といえば1985年にアフリカ飢餓救済のために作られ、世界中でとてつもない大ヒットを記録した曲であり、その制作風景のドキュメント映像も販売されビッグセールスを記録しました。その前年にイギリスでボブ・ゲルドフがバンド・エイドを結成し、行われたチャリティプロジェクトに触発されてのことです。音楽史に残る歴史的なプロジェクトでした。
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当時のアメリカを代表する音楽界のスーパースターらが一堂に集結し作り上げられたこの曲はマイケル・ジャクソンとライオネル・リッチーによって作詞作曲され、クインシー・ジョーンズがプロデュースを担当しました。当時としては夢のような作品で、現在45才より上の世代なら誰もが知っている曲だと思います。2018年の7月にNHKで「We Are The World奇跡の10時間」という番組でその詳細が放送されました。その時書いたブログはこちらです。いろんなドラマがあり見ていて興奮した記憶があります
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「ウィ・アー・ザ・ワールドの呪い」というタイトルはちょっと意味深で興味をそそれらますね。
この本では、U.S.A・フォー・アフリカというビッグプロジェクトが起こしたムーブメントに至るアメリカの音楽界のルーツから、録音までに至る準備やアーティストの声掛け、録音当日のドキュメント、そして最も興味深い「ウィ・アー・ザ・ワールド」が起こした呪いとは何かということが書かれています。
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作者の西寺郷太さんという方は正直なところあまり存じ上げてはいませんが、ノーナ・リーブスのシンガーであり、作詞・作曲、プロデュースも手掛けられるミュージシャンということです。
ほかの著書に「マイケル・ジャクソン」「プリンス論」などがあるそうです。

「ウィ・アー・ザ・ワールドの呪い」という彼の説には、結果としてそうなっているので、否定はしませんが、懐疑的な気持ちもなくはないです。これに参加したアーティストらがちょうど最も輝いていた時期だったと言えばそうでしょうし、どんなアーティストも時代の流れのようなものにはかなわないところもあります。また、予想をはるかに超えて多くの方にいきわたったことで、その後の衰退につながったということも何となくうなづけます。
しかしながら、アメリカを中心とした世界のポピュラー音楽の流れなどは、大変勉強になりましたし、知らなかったこともたくさんありました。
ミュージシャン同士のつながりや、マイケル・ジャクソンが映画「サタデー・ナイト・フィーバー」のサントラで一世風靡したビージーズに対し一目置いていたことなど面白かったです。
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あまり中身をばらしてしまうといけないですね。

最後に、この本を紹介して下さったブログ仲間のRWさんに感謝いたします。
とても面白かったです。

久しぶりに本のブログを書きます。
振り返ると今年の3月に 「定年ゴジラ」をアップして以来となります。
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ここのところなかなか読書タイムを取ることができずに、この本を読み終えるまでに相当な日数を要してしまいました。途中で話の筋が頭から離れてしまい、少し前に戻りつつなんとか読み終えました。

さて 「カレイドスコープの箱庭」ですが、「バチスタ」シリーズあるいは「東城大」シリーズの最終章となります。「チームバチスタの栄光」から実に7作目となります。

今回も高階病院長から不定愁訴外来の医師であり、リスクマネジメント委員会の委員長である田口医師に無理難題(?)のお願いから始まります。

今回は先日亡くなられた患者さんを肺がんとしたのが、誤診ではないかという疑いがあるため、調査を依頼したいということでした。内部告発から検体の取り違えの疑いが出ており関係者に聞き取り調査をすることになりました。
ことがことだけにあまり公にしたくない、内密に実態を解明せよ、という指令です。医療ミスとなれば大ごとになる、そうなる前に手を打っておかなければいけないというわけです。

田口医師が聞き取りを始め、ある検査技師の検体の取り違えが濃厚である、というところに行きつくのですが、どうもいまいち釈然としません。するといつものようにと言うか、お約束通りというか、厚生労働省のはぐれ技官、火食いどりと呼ばれる規格外役人の白鳥圭輔が登場します。
田口医師はまた現れたかと気が重くなります。実は高階病院長の差し金だったのです。

二人のやりとりは相変わらずの面白さ、一見的外れのようでしっかりと真髄に切り込んでいく白鳥は、いつもながら切れ味鋭いです。


ストーリーの中身をあまりお話ししてはいけませんので、これくらいでやめておきます。

読み終えたあと、付録で「作品相関図」というのがありました。
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これは海堂尊ファンにとっては、とてもいいプレゼントではないでしょうか。いやまず僕にとってとてもありがたいです。以前にも書きましたように、海堂尊氏の小説は同じ登場人物が多数の作品にまたがって登場します。時には時代をさかのぼり、若かりし頃の物語があったり、それはうまく構成されています。
ただ、作品が多すぎて関係性や時系列ががだんだんとよくわからなくなってきます。この相関図は一目でそれを解決してくれます。
今のところ、ここに載っている26作品中17作品は読破しました。あと9作品読めば全巻達成となります。ま、単なる自己満足に過ぎませんが。
他にも、「桜宮市年表」なるものが掲載されており、これまで桜宮市でおきた出来事が時系列でわかりやすくしてあります。
また、「放言日記」では海堂尊氏のデビューから10年間の歩みがまとめられており、これまたファンにとっては興味深いものになっています。

作品そのものも楽しめますが、この付録も楽しめるようになっており、ちょっと得した気分になります。

P.S>
先日、有川浩氏の作品をまとめて買い込んで来ましたので、今後しばらくは有川作品をアップすることになりそうです。いつになることやらわかりませんが、ボチボチと気ままにやらせていただきます。



 

書店の古本コーナーでこの「定年ゴジラ」のタイトルに目が止まりました。
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10年前ならスーッと流しているかもしれませんが、やはり年齢なんでしょう、「定年」 と「ゴジラ」の組み合わせにも興味を惹かれたのかもしれません。

この小説の主人公は山崎隆幸さん満60歳、42年間勤め上げた都心の大手銀行を定年退職したばかりです。

「もう会社に縛られることもなく、これから自由で気ままな第二の人生が始まるのだ」と勢い込むのですが、実際のところ、やることがなく時間を持て余しています。
せいぜい近所周りを散歩することを日課としていますが、これも退屈な日々を送っていました。

住まいは一戸建てで、くぬぎ台ニュータウンというところなのですが、都心から電車で約2時間と東京とは言え西の外れに位置しています。

ある日散歩から戻った山崎さんが奥さんに「この街って何にもないんだな」 と愚痴ります。「何にもないからいいんだって言ったじゃない」奥さんは笑います。「こういう静かなところが一番安らぐんだって、子供のためにもいいんだって」その通りだったのです。

ある日のこと散歩中に同じ定年組の仲間ができます。 大手電鉄会社に勤務し、このくぬぎ台ニュータウンの開発に携わった、藤田さんです。
その後少し先輩の町内会長を務める古葉さん、単身赴任が長かったため浦島太郎状態の野村さんらと仲間が増えていきました。

山崎さんは娘が2人いましたが、長女は結婚して家を離れ、時々孫を連れて遊びにやってきます。孫ができてから「お父さん」 から「おじいちゃん」に呼び名が変わったことがちょっと引っかかっています。

次女はこの春就職して東京で一人暮らしを始めました 。どうせすぐに寂しくなって戻ってくるだろうとタカをくくっていましたが、ほとんど家に戻ってくることなく、時々奥さんと電話でひそひそ話をしているのが気になっていました。

そんなある日のこと、次女に付き合っている男性がいることが発覚します。
しかも、妻子ある男性で離婚して一緒になるつもりだということがわかります。
それを知った 山崎さん、いろいろなことが頭の中で渦巻きます。

そしていよいよその男性と会う日がやってきますが、そこで事件が起こります…。


山崎さんの故郷は新潟県の山あいの村です。
幼少時代仲の良かった通称「チュウ」 の悪い噂を耳にします。寸借詐欺のようなことをして同級生が被害に遭っているから、お前も注意したほうがいい、と。

「チュウ」 の家は貧乏でした、それを哀れんで山崎さんの母親は家に遊びに来た時、よく食べ物をあげていました。だんだん慣れてきて山崎さんが不在でも家に上がり込んで母親と親しくするほどでした。
山崎さんはそんな「チュウ」 がだんだんと疎ましく思えてきたのでした。
〜そんなことがあったなあ〜と昔懐かしく思い出に浸っていると、我が家にチュウが訪ねてきたのです。

山崎さんが二十歳の時のことです、母親が上京したことがありました。その案内役でチュウが一緒に来るというのです。

山崎さんは母親に対して優しくできませんでした。そして母が故郷に戻ったわずか1カ月後で脳溢血で亡くなってしまったのです。心にモヤモヤしたものが残っていました。

そんなことをチュウと喫茶店で話しているうちに、コーヒーのおかわりをするため山崎さんが1万円札を出しました。チュウが「僕が買って来る」と言ってその場を離れ、戻ってきませんでした。

呆然とする山崎さん、でも不思議に怒りも悲しみも湧いてこなかったのです。
〜40年間の思い出を思い起こさせてくれて、良かった。
「まいったなあ、あの野郎、ふざけた真似しやがって…」故郷の同級生たちも、そんなふうに思っていたのだろう。胸の奥の40年分の苦味が消えた。チュウのおかげだ。〜
 その夜の晩酌は普段より酔いが早くまわったのです。
「…いかにいます、ちちはは、つつがなしや、ともがき」「故郷」(ふるさと)という歌がふと頭に浮かんだのです。


山崎さんはちょうど今の僕と同じ60歳という設定で娘が2人というところも同じです。
ただ山崎さんは昭和11年生まれですから22歳も年上になります。そこは少しジェネレーションの違いは感じます。
自分の住まいや地元の仲間、娘の結婚など共感する話題が多く、とても身近に感じ取れます。

全7編の短編に「帰ってきた定年ゴジラ」 を加えた1冊となっています。
これは前作から3年後のお話で山崎さんがパソコン相手に苦戦します。
 
重松清さんと言えば、以前ご紹介した「流星ワゴン」 の作者でもあります。
1963年生まれで、この作品を書いた時はまだ若い時期ですが、自分の父親のことを思いながら書いたそうです。

この「定年ゴジラ」は山崎さんを中心とした家族の微妙な関係性が随所に見られます。

昭和11年生まれの方々は戦後の日本を立て直して来られた世代です。
ニュータウンに一戸建てを建てるというのが一種のステータスだった時代です。
それこそ家庭を顧みず、頑張って働いてこられたと思います。
そして定年退職した後の空洞感と言うのでしょうか。
さあ自由にしていいんだよというステージになっても 、いざなってみるとどうしていいのかわからない、少し気の毒な男たちを表現されています。

還暦過ぎた方にはオススメの1冊です。 
お父さんたちの悲哀や苦悩を楽しく描いています。
 

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海堂尊氏の小説です。

「チーム・バチスタの栄光」から始まった東城大学病院シリーズの番外編・スピンオフ的な1冊です。

デジタル・ハウンドドッグ(電子猟犬)こと警察庁の加納警視正にいつもこき使われて振り回されている玉村警部補と東城大付属病院の不定愁訴外来、通称グチ外来の田口医師の二人が昔を回想しながら振り返る4作の短編集で綴られています。

「東京都二十三区内外殺人事件」
>田口医師が白鳥圭輔からの要請で上京した際に公園で身元不明の遺体と遭遇する。白鳥の指示で遺体を監察医務院に運び解剖を依頼する。

「青空迷宮」
>桜宮市のサクラテレビが企画したちょっと落ち目になった芸人によるバラエティ番組の収録中に殺人事件が発生した。その場所とは屋外に作られた巨大迷路の中だった。

「四兆七千億分の一の憂鬱」
>夫と愛人がいる主婦が殺害された。DNA鑑定の結果が一致したのは被害者と何の関係もないフリーターだった。DNA鑑定の絶対的な確率を使ったトリックに加納警視正が挑む。
ネットゲームがアリバイとして重要な位置付けとなるが、玉村警部補の意外な一面が明かされる。

「エナメルの証言」
>桜宮市では暴力団組員の焼身自殺が続いていた。桜宮市警察では遺書も存在し、歯科医による歯の治療跡の確認による鑑定でも不審な点が見当たらないと判断されていた。だが、自殺した組長の人となりを熟知する加納は一連の焼身自殺に事件性を疑い、捜査に乗り出す。

ミステリー色の強い謎解きがメインの4作品です。
東城大病院から少し離れたフィールドでの小説になっており、少し新鮮な感触もうけました。
僕は非常に楽しく読むことができました。

海堂ファンもしくは東城大シリーズファンの方にはたまらない1冊だと思います。


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