舘祐司の気ままなブログ

カテゴリ:

仮面病棟に続く病棟シリーズ第2弾です。(前作のブログはこちら)
B3021134-E6AD-44AA-9100-4030735295EF

病棟シリーズというだけに病院が舞台となるストーリーで、「医療ミステリー 」と言われています。

さて今回の主人公は、 倉田梓、職業は病院に勤める看護師です。

目覚めるとそこは病院のベッドでした。
なぜ自分がここにいるのか全くわかりません。
そして自分と同じくこの病院に監禁された男女5人の存在が明らかになります。
そこから5人の脱出ゲームが始まります。

この5人は全てが医療関係者、皆初対面同士だったのですが、共通項が自殺されたということになっている芝本医師と関係があることでした。

そして謎のピエロからのミッションが出され、それら全てをクリアしないと病院ごと吹っ飛んでしまう爆薬が仕掛けられていることが判明します。
タイムリミットは6時間、今まさにそのタイマーが動き出したのです。 

初めはお互いに協力し合うのですが、だんだんと隠していた秘密が暴露され、互いに疑心暗鬼になっていきます。 

誰がこんなことを仕掛けたのか?この5人がなぜこのような目にあっているのか?そして芝本は他殺だったのか?謎だらけの中 タイムリミットは刻一刻と迫ります、そして衝撃的な結末が待っていたのです。

一方、病院の外では刑事たちが動き出していました。行方の知れない人たちが多くいたことから事件性を感じたからです。
彼らは果たして間に合うことができのでしょうか?・・・

スピード感があり、息もつかせぬ展開でした。
とても面白く一気に読むことができました。

 

いわゆる「チーム・バチスタ」シリーズの第6弾である。
4638DB4F-CA4B-40AF-A525-FA31151AE918

少しおさらいすると、以下のような流れだ。
 第1弾「チーム・バチスタの栄光」 (2006)→ブログ
 第2弾「ナイチンゲールの沈黙」 (2006)→ブログ
 第3弾「ジェネラル・ルージュの凱旋」 (2007)→ブログ
 第4弾「イノセント・ゲリラの祝祭」 (2008)
 第5弾「アリアドネの弾丸」 (2012)→ブログ
 第6弾「ケルベロスの肖像」 (2012)

海堂尊氏の小説の特徴的なことはストーリーが繋がっているところだ 。
また上記のシリーズ以外でも、ある人を中心に物語が出来上がったりしている。
1人1人のキャラクターが明確に出来上がっているため、それはそれで十分に楽しめる。
変わり種としては「ひかりの剣」、清川や速水が学生時代に剣道に打ち込んでいる姿を描いていた。
高階病院長も重要な役で登場している。

さて今回の 「ケルベロスの肖像」だが、この本を読む前に2006年の「螺鈿迷宮」(らでんめいきゅう)を是非読んでいただきたい。
螺鈿迷宮での一件が今回のストーリーに大きく関わっているからだ。


東城大学病院の高階病院長の元に「八の月、東城大とケルベロスの塔を破壊する」 という脅迫状が届く。
ケルベロスの塔とは今建設中のAIセンターのことを指しているのか。

ちなみにAI(エーアイ)とはオートプシー・イメージングの略で死亡時画像診断のことを言う。
死因が体表からわからない場合は、従来解剖に頼らざるを得なかったが、このAI技術により、解剖することなく体内の状況を知ることができ、より正確な診断に寄与すると言われている。

いつものごとく、田口公平医師に真相を明らかにするよう依頼がかかる。
田口医師は不定愁訴外来、通称グチ外来の「行灯」 医師と言われている。

そして、病院長は厚生省の「火喰いどり」 ロジカルモンスター白鳥圭輔にも相談し、その助手である「氷姫」姫宮女史も調査に動き出していた。

AI(エーアイ)センターのセンター長でもある田口医師は後輩の「スカラムーシュ」 彦根や大学生天馬大吉、別宮葉子らの協力も得ながら、見えない敵と対峙して行く。

「螺鈿迷宮」で碧水院病院とともに焼死したと思われていた桜宮家の双子の娘の1人が生き残っていたという情報も浮上し、亡霊との戦いになる。

そしていよいよAIセンター設立の日を迎える。

田口は東城大学病院を守ることができるのだろうか? 


 

06BA02FF-7DE3-4AF6-9B4A-171B191A2BB0

清田清一(きよたきよかず)は地元ゼネコンを定年になり、アミューズメントパークに嘱託として勤務することになった。
剣道師範で父親から引き継いだ自宅敷地内道場で剣道を教えていたが、最後の生徒がやめてしまったため休業することとなった。仲間からは「キヨさん」の愛称で呼ばれている。

立花重雄(たちばなしげお)はキヨさんの同級生だ。
居酒屋「酔いどれ鯨」を経営していたが、息子に譲り店の仕込みなどの手伝いをしている。
柔道家で体が大きく、いつも黒ジャージを着ている。通称「シゲさん」だ。

そして、もう一人有村則夫(ありむらのりお)武闘派の二人とは違い体は小柄だが、機械ものにめっぽう強く頭脳明晰である。
妻を出産時に亡くし、一人娘の早苗と二人で暮らしている。通称「ノリさん」。
8CB3569E-F078-4206-BCD6-91B848DBB2DD


この三人はこどもの頃地元で「三匹の悪ガキ」と呼ばれていた。

ある日、シゲさんから提案があると呼ばれたキヨさん。
それは町内の治安のため三人で自警団をしようという話だった。

実は暇を持て余していたので、一石二鳥を狙ってのことだから、動機はやや不純である。

キヨさんの孫の祐希は茶髪で口の利き方も知らない今どき高校生だ。
最初はジジイとかジーサンとかうるさがっていたが、3人の活躍ぶりを見て徐々に見直すようになる。
偶然キヨさんが働くことになったアミューズメントパークがバイト先が同じだったことから何かと事件に絡むようになる。
ある時、痴漢からノリさんの娘早苗を助けたことから、急速に距離が縮まり秘かに恋心を抱くようになる。


この三人、還暦という設定はまさに自分にどんぴしゃり、そしてとっても元気なジジイ三人組なのだ。
悪い奴らをぶっ飛ばすところなどは痛快そのものである。
痛快活劇コメディといったところだろうか。

町内の悪党たちに立ち向かう「三匹のおっさん」、とても力強くたくましい。

ある時は痴漢を撃退し、ある時は詐欺師を暴き、ある時は中学校で飼育している動物を虐待する輩を懲らしめる。また、ゲーセンで売上金を強奪する不届き者をぎゃふんと言わせる。
2A939968-790D-49F8-8324-A256F8B7EF2D

楽しすぎて次々ページをめくってしまっていた。
やはり還暦…同年代ということで共感できる部分が多々あるからだろう。

2008年に刊行されているので、約10年前に還暦だった人が描かれているのだろうと推測する。
とすると僕よりも10歳年上の方ということになるのかな??。

孫の祐希から指摘されて、ファッションに気を遣うようになるところなどもリアルで楽しく読むことができた。
この年代の男はおよそ服装に気を遣うことなど、とうの昔に忘れてしまっている人が多いからだ。

還暦セット(赤いちゃんちゃんこなど)などいらないと拒否するキヨさんに無理やり押し付けようとする息子夫婦とのやり取りも面白い。
息子の嫁のたくらみを見通してズバッと言い放つキヨさんの妻芳江の切れの良さも気持ちよかった。
竹を割ったような性格というか、物事のよし悪しをはっきり言うタイプだ。
芳江さんの性格すごく好き、シゲさんやノリさんたちからも一目を置かれ秘かに恐れられているのだ。

続編の「ふたたび」という本も発売されているそうなので、また読みたい本が増えた。

還暦世代に元気をもらえる作品だ。
身近な話題ばかりで難しいことを考えることなく、さらっと読めるところがとてもいい。

こんな元気な還暦ジジイを目指そう、と思った。

P.S 挿絵のイラストがとっても可愛いのだ。キヨさんの目はどこにある?。
CEE42813-D0DA-4200-AE3D-CC673858D7E5


辞書編集に長い間携わり、先日「さらに悩ましい日本語」を出版された神永暁(かみながさとる)さんの記事が面白かったので、一部紹介したいと思います。
_SX312_BO1,204,203,200_

まず例の森友学園問題で一気にメジャーになった言葉「忖度」、今年の流行語大賞の有力な候補ではないかとまで言われるようになっているそうです。

忖度は本来、「他人の心を推し量る」意味だけで、その上で「何かを配慮する」意味はないそうです。
籠池前理事長が国会の証人喚問の際に使ったことで一躍脚光を浴びることになりましたが実はそれ以前にも「政権に配慮する」意味で使われていたそうです。
籠池前理事長の場合は「斟酌」(しんしゃく)の方がふさわしいのではと書かれています。
ただこの言葉も元々は「酒を酌み交わす」という意味から「寛大な取り計らい」に拡大した歴史があるとのことです。
このように言葉は変化していきます。

国会会議録を研究すると興味深い使用例が見つかったそうです。
例えば「しっかり」です。「仕事や勉強などを熱心・着実に行うさま」を表す言葉ですが、最近の政治家がよく使っていることが分かったそうです。
小泉純一郎内閣時代からそれまでの3倍近くに増えたそうです。

次に「忸怩」(じくじ)です。本来は「自分の行いについて恥ずかしく思うさま」を言います。
ところが実際には「残念、もどかしい、腹立たしい」といった意味に使われていることがほとんどだそうです。
他人にいら立っているばかりで、自分は全然恥じていない、ということです。

読み間違いから言葉が変化することがあるそうです。
その原因として「音位転倒」ということがあります。
「音位転倒」とは例えば幼児が「とうもろこし」のことを「とうもころし」と言ったり「エレベーター」のことを「エべレーター」と言ったりすることです。
それで思い出すのが妻の母親が「シーチキン」を「チーシキン」、「タッパー」を「パッター」と言ってました。(笑)

この例として「だらしない」は「しだらない」の間違いから生まれ「しだらない」の「しだら」は「しどろもどろ」の「しどろ」と関係があり「秩序が乱れている」という意味だそうです。

「あたらしい」は「あらたし」の間違い。「さざんか」(山茶花)は「さんざか」を読み間違えたことから生まれた言葉です。山茶花は普通に読めば「さんさか」ですよね。

このように日本語は時代とともに変化していく言葉なのです。


言葉の変化と聞いて真っ先に思いつくのは「やばい」ですね。

ヤバいよ(出川さんのは本来の意味です)

悪いことが起こりそうな、具合の悪い時に使われる言葉だったんですが、最近では「美味しい、素晴らしい、かっこいい」といった意味で使われています。
肯定・否定問わず使える便利な言葉で若者を中心によく使われています。

どちらかと言えば悪いイメージの言葉が真逆のいい意味に変化してしまった言葉の代表格です。
若い人たちからすればおそらく悪いイメージなどまったくないと思います。

また気になる言葉としては、コンビニなどで1000円札を出すと「1000円からお預かりします」などと言われることが多いです。一体いつ頃からそういう言い方に変わったのでしょうか。
僕の認識では「1000円お預かりします」で問題ないと思います。

ほかの国はどうなんでしょう。聞いてみたいものですね。




IMG_0154


「このまま死んじゃってもいいかな、もう」とぼーっと考えている一雄だった。

38歳の一雄は会社をリストラにあい、妻はしょっちゅう朝帰りで離婚寸前、息子は中学受験に失敗してからというもの口も聞かず、家庭内暴力という事態になっていた。

家の中は散らかったまま、洗濯物も山のような状態だった。まさに家庭崩壊状態だ。

終電を降りて、駅前のベンチでウィスキーを飲んでいた時だ。
1台のオデッセイが停車し、「遅かったね、早く乗ってよ」 と声をかけられる。

中には橋本父子(おやこ) が乗っていたのだが、その親子は実は5年前に交通事故で亡くなっている。

妙な車に乗り合わせることになったのだが、 不思議に怖さはなかった。

そこから、奇妙なドライブが始まる。

一雄の父親はガンで危篤状態にあった。

一雄は中学生頃から父のことが大嫌いになり、今でも疎遠な状態にある。
なんでも自分のいう通りにしないと機嫌が悪い昔気質の父の事が大っ嫌いだったのだ。 

このドライブは不思議な事に、過去に戻れるのだ。
しかし、その時その場所はドライバーである橋本さんとその息子の健太くんだけが知っている。

そしてある時不意に一雄の父 、忠雄が現れる、しかも父の二十数年前つまりいまの一雄と同じ年齢の38歳の父親だ。
この目の前で起こっていることがよく飲み込めずにいると、「お父さんやら呼ばんでええ。ワシら、ここじゃ朋輩(ほうばい)じゃけん。五分と五分の付き合いじゃ。お前はカズで、わしは・・・・・そうじゃの、チュウさんでええわ」

それから、いろんな場面に遭遇する、そして妻のこと、息子の本当の気持ちが少しずつわかってくる。
父としてその気持ちを理解してやれなかったことを後悔する気持ちが膨らんでいく。

そしてまたあんなに嫌いだった父のことも誤解や思い込みがあり、思い違いがあったことに気がつく。 

これまでの自分の考えや行動が間違っていたことに気がつかされた一雄は、いま何ができるのか模索する。
しかし、どんなことをしても現実を変えることはできないということを思い知らされる。

自分は本当に死んでしまうのか、ならば残る息子と妻にはせめて幸せになってほしいと、必死でできる限りのことを思いつくまま行動する。



もちろん荒唐無稽なストーリーであることは誰の目から見ても明らかである。
しかし、不思議にこの物語に乗っかっていってしまう。


父親との関係、そして息子との関係性はどうなのか、またどうあるべきなのか。
誰もに共通する課題だろう。

時空を超えて物語が進行するというところはいささかSFチックではあるが、この物語は実にヒューマンドラマである。3組の父と子の関係性がいたるところに散りばめられている。

父と子の男同士のコミュニケーションはとても難しいということは、男性諸氏なら誰もが理解できることだろう。

読んでいてやはり自分自身のことを重ねて想像したりした。


実に面白かった。間違いなく秀作である。


このページのトップヘ