「マドンナ・ヴェルデ」(海堂尊著)を読みました。

「お母さん、私の子供産んでくれない?」の言葉から始まります。

 「マドンナ・ヴェルデ」はもう1つの「ジーン・ワルツ」という面白い作品です。

つまり同じストーリーを別な角度から描いています。
「ジーン・ワルツ」が「表」とすれば「マドンナ・ヴェルデ」はそれを「裏」から見たお話しです。
あとがきを女優の松坂慶子さんが書かれていました。
ドラマでみどり役を演じこの作品に縁(ゆかり)が深い方です。

 「ジーン・ワルツ」ではクール・ウィッチ(冷徹な魔女)の異名を取る曽根崎理恵を中心に、「マドンナ・ヴェルデ」では理恵の実の母であり代理出産の当事者である山咲みどりを中心に書かれています。

まずは「ジーン・ワルツ」を読んでから 「マドンナ・ヴェルデ」を読むと面白さは倍増すると思います。



あまり内容を書いてしまうとネタバレになってしまいますので書きませんが、僕の印象を少しだけ述べます。

「ジーン・ワルツ」が理恵中心のため大学や病院といったどちらかといえば殺伐としたフィールドが多かったのに対し 「マドンナ・ヴェルデ」では、55歳の独身女性「みどり」の視点ということからか、句会であったり料理の手順のようなヒューマニズム溢れる身近な話題が目立ちました。
少しほのぼのとさせられます。
また、理恵の夫で単身アメリカで生活している伸一郎との手紙でのやり取りは面白いと思いました。

みどりと若いユミがあんなに親密だったとは、…本当に裏の部分を知るというのは意外性があって面白いです。(脈絡がメチャクチャですみません、思いつくまま書いています)

理恵の強引とも言えるお願いにより代理母を受け入れたみどりでしたが、お腹の中に生命を宿しているうち徐々に 考えが変わっていきます。

そして「この子たちは娘に渡したくない」という気持ちが強くなり大きな賭けに出ます。

そんなことから母娘の確執に発展していきますが、それを和解に導くのが意外な人物でした。

代理出産という非常に重たいテーマを軸に書かれています。
AさんとBさんの精子と卵子をCさんの体内に入れて出産した場合、母親は誰になるでしょう。
現在の日本の法律の元では卵子提供者のBさんではなく出産したCさんになるそうです。

理恵はそのことに異論を唱えてなんとか変えなければと自分の家族を巻き込んで計画を立てたわけです。

非常にデリケートな問題です。先ほどのケースは海外では日本とは違う解釈の国もあるようです。



最後になりますが、実はこの本は岸会長からお借りしました。

僕が「ジーン・ワルツ」をブログにアップしたことで是非にということでした。

これが実にタイムリーでして、僕は「ジーン・ワルツ」を読み終えた後、岸会長のブログで「マドンナ・ヴェルデ」の存在を知りこれは是非読みたいと思って近日中に購入する予定でした。

もう後1、2週間の間にはそのつもりでしたから、なんとも不思議な気がします。

そして、今ちょうど海堂氏の「螺鈿迷宮」(らでんめいきゅう)を読んでいる最中でしたが、この「マドンナ・ヴェルデ」に切り替えて一気に読みました。

岸会長にはこの場をお借りして御礼を申し上げます。
ありがとうございました。
11月9日にお会いできると思いますのでその時に間違いなく返却致します。(笑)