先日大学入試に関することを書いて、ちょっと考えさせられました。

振り返ると中学校時代は、試験の1週間前になると、試験のための勉強で机に向かい教科書を開き勉強しました。いわゆる詰込みというやつですね。なぜかと言えば普段は家でほとんど机に向かったことがないからです。それでも、まあまあ暗記力に長けていたんでしょう。(自分で言うのもなんですが)それなりに結果が伴います。その当時テストの点数が張り出されていましたので、誰がどんな順位かわかります。
学年が260名ほどの中でほとんど50番以内に入っていましたので、廻りからは「舘君は頭がいい」となる訳です。もちろん悪い気はしません。負けず嫌いの性格があるので、その1週間は集中できました。だけど、はっきり言って暗記力が得意かどうかだけの問題ですね。国語、社会は得意でした。それに比べ数学はちょっと苦手でした。これはまさにそのことを表しています。暗記は得意でも応用力は弱いということです。

先日の大学入試の改革では従来のマークシート式を廃止し「記述式問題を通じて思考力・判断力・表現力を育成しよう」という理念に基づいているようなんですが、考えてみると入試ってたった1回のことなんですよね。学生にとって目当ての学校に合格するか否かは大きな問題ですから、軽視するわけではありませんが、やはり高校での3年間、大学での4年間をどのように過ごすかが大切だと思います。

前置きが長くなりましたが、今の教科も大切だと思いますが、そろそろ日本ももっと多様な能力を認める社会になってもいいんじゃないかとふと思いました。
新潟の中学生が、中学校の教師が使うサーバーに不正にアクセスし、自分のスマホから遠隔操作で成績表を改ざんするという事件が起きました。「親にいい成績を見せたかった」のが理由だったそうです。
これ一種のハッキングですよね。もちろん、やったことは褒められたことではありませんが、その能力を持っているわけです。このことをしようと思ったこと、そして実行したこと、おそらく実行するためには調査したり研究したりしたんじゃないかと思います。これまさに「思考力・判断力・表現力」なのだと思います。誰に教えられたわけでもなく自分で考えて実行したことは一つの素晴らしい能力だと思います。将来いいことにぜひ生かしてもらいたいと思います。

人間にはそれぞれいろんな能力が備わっていると思います。歌が上手い、絵が上手、字が上手、計算が早い、足が速い、体が柔らかい、腕力が強い、などなど。
また、その人が好きなことがあります。歌が上手い人は歌いたいでしょう。絵がうまい人は絵をかくことが好きだと思います。そんな個々の能力を社会がもっと認めてそれをさらに伸ばすような教育ができたら、面白い国になるように思います。
従来日本から芸術家が生まれるのは難しいと言われてきました。それは、勉強していい学校に入って、いい企業に就職するために努力しろという親がほとんどだからです。子供の将来のことを案じてそう思うのは当然だというのが一般的な考え方です。それでは、歌が上手い人や絵が上手な人は埋没してしまいます。そういうことを言うと、じゃ歌や絵で将来食っていけるのか、という議論になると思います。残念ながら現在の日本の社会では厳しいと言わざるを得ません。経済的に成り立つのはほんの一握りの人だけでしょう。無責任なこと言うなとの声もあると思いますが、そういう社会を変えていけたらいいなと思っているわけです。

好きなことをやって生活していければ、楽しい人生になるように思います。少々辛いことがあっても、頑張れると思います。好きなことが見つからないという人もいるでしょう。そういう人はいろんな経験をすることで、出会いがあったり、何かのきっかけでこれだと思えることが見つかるかもしれません。
それでも見つからなければ、見つかるまで、粘り強くトライしてみることですね。前を向いて生きるというのはそういう事なんじゃないかと思います。

無差別殺人事件のような、なかなか理解に苦しむ事件が発生する世の中になっています。「世の中にむしゃくしゃして、誰でもいいから人を殺したかった」というような犯行理由を聞くと、いたたまれない気持ちになります。目指すところや好きなことが見つからず、仲間もいなかったのかな、と。
そういった人を産み出す社会では絶対にいけません。

単なる理想論だと片付けるのは簡単なことですが、近頃の日本は昔と比べて変化しました。
いじめ問題など、大勢で一人を攻撃するのはもってのほかです。また、ハラスメントの問題も強者が弱者を攻撃するのもいけません。そういう教育を受けてきたはずなんですけど。何かに秀でた人を逆恨みするような世の中であってほしくないですね。足が速い子がいたら、応援しましょうよ、将来オリンピック選手になるかもしれません。

人の心の豊かさとはそんなことも大切な一つじゃないかと思います。