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海堂尊氏の小説です。

「チーム・バチスタの栄光」から始まった東城大学病院シリーズの番外編・スピンオフ的な1冊です。

デジタル・ハウンドドッグ(電子猟犬)こと警察庁の加納警視正にいつもこき使われて振り回されている玉村警部補と東城大付属病院の不定愁訴外来、通称グチ外来の田口医師の二人が昔を回想しながら振り返る4作の短編集で綴られています。

「東京都二十三区内外殺人事件」
>田口医師が白鳥圭輔からの要請で上京した際に公園で身元不明の遺体と遭遇する。白鳥の指示で遺体を監察医務院に運び解剖を依頼する。

「青空迷宮」
>桜宮市のサクラテレビが企画したちょっと落ち目になった芸人によるバラエティ番組の収録中に殺人事件が発生した。その場所とは屋外に作られた巨大迷路の中だった。

「四兆七千億分の一の憂鬱」
>夫と愛人がいる主婦が殺害された。DNA鑑定の結果が一致したのは被害者と何の関係もないフリーターだった。DNA鑑定の絶対的な確率を使ったトリックに加納警視正が挑む。
ネットゲームがアリバイとして重要な位置付けとなるが、玉村警部補の意外な一面が明かされる。

「エナメルの証言」
>桜宮市では暴力団組員の焼身自殺が続いていた。桜宮市警察では遺書も存在し、歯科医による歯の治療跡の確認による鑑定でも不審な点が見当たらないと判断されていた。だが、自殺した組長の人となりを熟知する加納は一連の焼身自殺に事件性を疑い、捜査に乗り出す。

ミステリー色の強い謎解きがメインの4作品です。
東城大病院から少し離れたフィールドでの小説になっており、少し新鮮な感触もうけました。
僕は非常に楽しく読むことができました。

海堂ファンもしくは東城大シリーズファンの方にはたまらない1冊だと思います。