この「仙台ぐらし」は仙台の出版社荒蝦夷(あらえみし)が刊行する雑誌「仙台学」に2005年から2015年に渡り連載されたエッセイ集を集めた文庫本です。
1C06E98C-3832-4DE8-9B8D-C4B0B49861AD

仙台で暮らしておられる伊坂氏ご本人があとがきでこう述べておられます。
当初、「エッセイに見せかけた作り話」 であればどうにかなるのでは、と引き受けたもののそれは甘い考えであったことがすぐに発覚し、結果的にはほとんどが実話を元に書くことになりました。〜

そういうことから、とても身近な話題が多く、それを伊坂氏の独特な感覚で面白おかしく描かれています。

伊坂氏の顔は仙台では売れているのだなあということもわかりますし、たまに声をかけられることで ご本人が少し意識過剰になっているということもニヤニヤしながら読みました。

2011年3月に東日本大震災が起こりました。
ちょうど1ヶ月経過した時期に、連載のエッセイを書かれています。
伊坂氏は仙台で暮らしておられますが、幸い大きな被害も受けずに 助かったそうです。
しかし精神的なダメージは大きく 、しばらく何をしたらいいのかもわからず、本棚の本は床に散乱したままの状態だったそうです。

そんな時、近くのお店に食料を買いに行くと、店員の方が並ぶ列を整理したり、「お一人様いくつまでです」などと懸命に働く姿を見て泣けてきたと書いておられます。また、遠方からボランティアで東北にきている人達の姿にも思わず泣けたそうです。

〜「大きな災害にあった人は、その影響で、急に泣きだしたり、怒りっぽくなったり、虚脱状態になったり、塞ぎ込んだりする」ということを後で聞くことになります。
「大きなショックを受け、情緒のバランスが崩れるということだろうか。人はそういう場合、感情をあっちこっちへと動かしながら、少しづつ、気持ちの天秤を元の位置に戻すのかもしれない」〜

そんな大変な体験を元に、「ブックモビール」という短編が生まれました。
移動図書館が元に書かれている被災地を舞台にしたお話です。
 
少し伊坂さんの人となりがうかがえるエッセイ集となっています。