いわゆる「チーム・バチスタ」シリーズの第6弾である。
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少しおさらいすると、以下のような流れだ。
 第1弾「チーム・バチスタの栄光」 (2006)→ブログ
 第2弾「ナイチンゲールの沈黙」 (2006)→ブログ
 第3弾「ジェネラル・ルージュの凱旋」 (2007)→ブログ
 第4弾「イノセント・ゲリラの祝祭」 (2008)
 第5弾「アリアドネの弾丸」 (2012)→ブログ
 第6弾「ケルベロスの肖像」 (2012)

海堂尊氏の小説の特徴的なことはストーリーが繋がっているところだ 。
また上記のシリーズ以外でも、ある人を中心に物語が出来上がったりしている。
1人1人のキャラクターが明確に出来上がっているため、それはそれで十分に楽しめる。
変わり種としては「ひかりの剣」、清川や速水が学生時代に剣道に打ち込んでいる姿を描いていた。
高階病院長も重要な役で登場している。

さて今回の 「ケルベロスの肖像」だが、この本を読む前に2006年の「螺鈿迷宮」(らでんめいきゅう)を是非読んでいただきたい。
螺鈿迷宮での一件が今回のストーリーに大きく関わっているからだ。


東城大学病院の高階病院長の元に「八の月、東城大とケルベロスの塔を破壊する」 という脅迫状が届く。
ケルベロスの塔とは今建設中のAIセンターのことを指しているのか。

ちなみにAI(エーアイ)とはオートプシー・イメージングの略で死亡時画像診断のことを言う。
死因が体表からわからない場合は、従来解剖に頼らざるを得なかったが、このAI技術により、解剖することなく体内の状況を知ることができ、より正確な診断に寄与すると言われている。

いつものごとく、田口公平医師に真相を明らかにするよう依頼がかかる。
田口医師は不定愁訴外来、通称グチ外来の「行灯」 医師と言われている。

そして、病院長は厚生省の「火喰いどり」 ロジカルモンスター白鳥圭輔にも相談し、その助手である「氷姫」姫宮女史も調査に動き出していた。

AI(エーアイ)センターのセンター長でもある田口医師は後輩の「スカラムーシュ」 彦根や大学生天馬大吉、別宮葉子らの協力も得ながら、見えない敵と対峙して行く。

「螺鈿迷宮」で碧水院病院とともに焼死したと思われていた桜宮家の双子の娘の1人が生き残っていたという情報も浮上し、亡霊との戦いになる。

そしていよいよAIセンター設立の日を迎える。

田口は東城大学病院を守ることができるのだろうか?