先日NHKの「戦後72年の郵便配達」というドキュメンタリー番組を見た。


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番組では、アメリカ軍に押収され「故郷に届かなかった手紙」が数多く存在し、ネット上で売買されている事を突き止めた。

戦後72年の時を超えて、届くはずだった宛先へと再配達する。



この放送で戦争中に戦地と故郷とを結ぶ唯一の手段だった「軍事郵便」という存在を知った。

驚いたのは、マニアの人々の間でオークションが行われているということだ。

1通で数万円の値が付くものもあるという。

届かなかった理由は、回収されたあと配達の途中で敵の攻撃を受け止まってしまった。

アメリカ兵が日本の領土に上陸し制圧した後、日本兵が持っていた郵便物を持ち出す場面も映像に残っていた。
これは米軍が未知の国日本の事を知るために、郵便物を貴重な資料として全て回収するように命令が出ていた、というのだ。
またアメリカ兵の中にはそれらを戦利品として集めたがるマニアもいたという証言もあった。
衝撃的な事実だ。


番組では、「届かなかった手紙」を届くはずだった人を探し出し、実際に配達した。

その方々ももう80代後半の高齢者ばかりである。
中には、「遺骨も何も届かなかった。やっと兄に触れ合えた気がします」と言って、ハガキを愛おしそうに撫でている方もおられた。

若く尊い命がたくさん失われた。
戦争とはそういうものだ。

先日朝からJアラートによる「国民保護に関する情報」という映像がテレビ各局の画面を占領した。
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戦時中に空襲警報が出た時はこんな思いになったんだろうか、と思った。

戦争は決して起こしてはならない。

悲劇を生んではいけない。必要のない命は一つとしてないのだ。

番組中であるお寺の住職が紹介されていた。
その方も「軍事郵便」 の収集家で約17万通もの郵便物を保管されている。
その住職によると、戦死された方の郵便物をここに集めて供養を行なっているそうだ。


自筆で書かれた唯一残された遺品でもある。
魂が宿っていてもおかしくはない。
軽々に扱うものではないだろうと思う。


まだわずか70数年前のことというのが何か信じ難い。

その当時日本も戦争当事国であったのだ。

戦争で犠牲になった方のことを思うといたたまれない。

繰り返すがこのようなことが2度とあってはならない。と強く思う。