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・庶務行員
・貸さぬ親切
・仇敵
・漏洩
・密計
・逆転
・裏金
・キャッシュ・スパイラル

以上の8編の短編集で綴られています。それぞれ単独でも楽しめますが、ストーリーがつながっており、最後の結末がどうなるのか気になり、つい続きを読みたくなってきます。


エリートバンカーの恋窪商太郎は、言われなき罪を着せられメガバンクである東都首都銀行を辞職、地方銀行の庶務行員となって静かな日々を過ごしていました。

ある日、元同僚桜井から電話が入ります。
そしてその翌朝、桜井の突然の死、恋窪は不審に思います。

忘れていた過去が蘇り恋窪は「仇敵」であった"あの男"と再び退治することとなっていく、という話から始まります。

池井戸潤氏お得意の金融ミステリーというジャンルですが、非常にリアル感があり、鬼気迫るものを感じます。
 

主人公の恋窪氏ですが、メインバンクのエリート行員だったキャリアを持ち合わせているため、知識も経験も豊富です。現在は庶務行員という立場で権限は小さいですが、若い行員の松木くんは難題にぶつかった時、必ず恋窪さんに相談を持ちかけ、解決に導くという展開です。

ちなみに庶務行員という職種、あまり耳にしたことがないと思います。
池井戸氏によれば、《庶務行員の仕事は支店の雑務である。銀行には、一般行員と庶務行員との二つの職種がある。一般行員は、さらに四年制大学を卒業した男性を中心とした総合職と、高校や短大卒の女性を中心とした一般職とがあるが、庶務行員はそのどちらでもない別の職種なのである。男性行員であるにもかかわらず、制服があり、店内案内や様々な雑役をこなすことを仕事としており、昇給も出世も極めて限定された職種といえる》 とあります。

正義のために戦う庶務行員の恋窪商太郎、現代のスーパーヒーローにも見えてきます。